2019/09/19

読書感想「MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実」


お金に関する心理学研究の総まとめ本。様々な研究結果をもとにお金にはどういった力があり、どのように人を操っているのか。本書はお金に支配されず、お金を操る為にはどういった考えが、心構えが必要かが書いてある。

個人的ハイライトをつらつらと

・哲学的にお金とは最も普遍的で最も効率的な相互”信頼”システムである。
 お金は信用を現物化できるという面白い性質をもっている。

・お金は本来は手段として使う物だが、人に対して麻薬によく似た働きをする。
 お金に対する喜び、快楽、不安、強欲がお金に操られてしまう原因となっている。

・子どもへのお小遣いは、管理させるという意味では良い効果があるが、お手伝いなどのご褒美でお小遣いを与えると、自発的モチベーションが削られたり、お小遣いが無いとお手伝いをしなくなったりと、デメリットの方が多い研究結果がある。
お小遣いは大人の給与と同じような扱いが基本。自分で使い方を決めさせ、一部を積み立て、一部を寄付に回すと良い。

・報酬についても同様の現象が起こる。回避するためには結果ではなくプロセスに報酬を与える、お金ではなく言葉の方が良い結果が得られている。
自発的な事、例えばボランティアなどに報酬を与えるとモチベーションが低下する。

・大人は子どもへお金についてもっと教えるべきで、お金を賢く使い、お金との関係を健全にするための土台作りをしてやらないといけない。

・人は死や恐怖を想像すると、お金を貯蓄したくなる。お金の保有が恐怖を抑える効果がある。

・現物ではない、クレジットや電子マネーでの決済は、財布の紐が2倍緩むという研究結果がある。

・人は損失回避という傾向がある為、徳よりも損をしない事に一生懸命になり、もっと得をする可能性を逃している。損失(後悔)回避により、初めに手に入れた物を手放したくなかったり、自分の所有物の価値を実際の価値よりも高く見積もる傾向がある。

・お金の価値、モノサシはモノや状況によって大きく変動する。例えば安物の少しの値引きをお得と思うが、高額品から同額値引きされてもなんとも思わない。
苦労して稼いだお金も高く評価してしまう。

・アンカー効果と言って、高額品を見たあと、低価格品がとても安く見える現象がある。

・性格を構成するビッグファイブ(誠実性、神経症傾向、協調性、外向性、開放性)では誠実性が高い人は貯金がある傾向があり、年収が高い傾向がある。

・心理学の「統制の所在」では、自身で状況をコントロール出来ると信じる「内部統制型」は起業家が多く、状況をコントロール出来ないと信じる「外部統制型」は借金がある人が多い。

・心の知能指数が高い人はマネー志向が低く、お金を権力や地位の象徴とは考えない傾向がある。逆にお金が大好きな人は、社会環境に適応しにくい傾向がある。

・人の金銭感覚はある程度は生まれつきの物であるというデータがある。

・金銭感覚が似ている夫婦は幸せになるという統計データがある。

・人の幸福度でお金が影響を与えるのは4分の1程度である。

・自分よりも人にお金を使った方が、モノよりも経験にお金を使った方が幸福度が高い。

・時は金なりという考えは、時には単純な娯楽の楽しみを奪う事がある。