2019/08/04

読書感想 羽生善治「決断力」


皆さんご存じ、羽生さんのベストセラー本。勝負師なわたくし、勝負師の本が好きなので読んでみました。

将棋はあまり詳しくないのですが、新しい戦術を発明しても、すぐに対策されて数回しか使えない程情報化しているらしい。常に変わりながら新しい戦術を作り出していくという厳しい勝負の世界。そのなかで勝ち続けている羽生さん。考え方がとても刺さりました。

「追い詰められた経験をしなければ飛躍しない」
人の能力は順応により作られていると考えていますが、まさしくといった感じ。
自分の限界を超えるには、限界を超えなければ成し遂げないんですよね。

「ピンチに陥って奮い立つ人がプロの将士には多い」
逆境を楽しめるという性格がストイックな事を継続出来る秘訣でもあるんでしょうか。
大衆が諦める所が大抵のスタートライン。

「知識を知恵に昇華させる事がすべての思考の原点」
深いですが、知識は実際に行動し、試す事で初めて自分の物になるという事を言っているのではないかと。

「同じ事をやって以前失敗したという経験は自分の思考を縛る事になる」
こういったマイナス面に打ち勝てる理性と自身をコントロールしなければ成長できないと言っている。勝負の世界で生きている人の思考は違う。。。

「自ら危険なところに踏み込む勇気が必要」
勝負でも攻めの姿勢は必要だし、未知の世界に踏み込まなければ未来は切り開けない。
積極的にリスクを負うという事は未来のリスクを最小限にしている。
よく言うリスクを冒さなければ大きなリターンは無いという事。ビジネスでも何でも何事にも当てはまる。

「これでよし、という消極的な姿勢になる事が一番怖い」
現状満足は後退の始まりという事

「周りの信用が戦っていく上で大きなファクターである」
強いと認められる事が大きな力を引き出してくれる源

「直感力は脳の無意識の領域に溜まった経験が浮かび上がってくるもの」
勝負ではデータや前例に頼るだけでは勝てない。
直感力と大局観が重要視されている。その不思議な力は経験によるものらしい。
膨大な時間をつぎ込んでこその能力。

「常識を疑うことから新しい考えやアイデアが生まれる」
本当にこれ。

「深い集中力は、海に深く潜るようなステップで生まれる」
試合時は極限の集中力が必要で、試合後は2-3kgも体重が減っているらしい。
深い集中の域に達するにはゆっくりと時間をかけて集中していく。

「何かに興味を持ち、それを好きになって打ち込む事は集中力、思考力、創造力を養う」
好きになって打ち込む能力、本当に重要ですね。

「将棋では勝つケースのほとんどが相手のミスによる勝ち」
極限まで強くなった人の戦いはそういう物なんだと。

「勝負中のミスは振り返らずに前向きな気持ちを保つ」
強靭なメンタル。反省は勝負がついた後に行う。

「負けを恐れない」
長い目で見れば落ち着くところに落ち着く。

「損を一気に取り戻そうとするとうまくいかない」
焦りはいつもの力を発揮できない。

「感情コントロールが実力につながる」
怒の感情が一番勝負に影響を与える。

「わき上がる闘争心がある限り現役を続けたい」
勝利を目標としてしまうと、勝利したら目標が無くなってしまう。
長く続ける事が重要で、その為には勝利を目標にしない。

「人生で目指しているものがはっきりしている人は、いくつになってもエネルギーがある」
そんなお爺さんになりたいですね。

「あえて相手の得意な戦型に挑戦する」
楽をしたいという気持ちは世界が狭くなり、アイデアも限られてしまう。
強い人の思考。

「近道思考で手に入れたものはメッキが剥げやすい」
勝負の世界ではこれは共通。遠回りして得た物は強い。

「才能とは同じ情熱、気力、モチベーションを継続する力である」
やってもやっても結果が出ないからと諦めてしまうと、そこからの進歩は絶対に無い。
やめてしまうぐらいなら「牛歩の歩み」でも続けろ。
エジソンの「天才とは1パーセントの閃きと99パーセントの努力である」とはよく言ったものだ。誰でも天才になれる。人は諦めるのが早すぎる。

「目標への達成感が、将棋の世界へ没頭させるきっかけの一つ」
教育では目標への達成というのが重要なのかも。

「最近の子どもは、まだ習っていないからと、自分の頭で考えようとしない」
今の教育法でとても危惧している事を羽生さんも同じ認識。
習っていない事はやってはいけないルール、なんとかならないだろうか。
金太郎飴製造施設はかなりやばい。
受け身の姿勢だけで、ただ教わるというのでは、勝負に必要な総合力を身に着けれないと言っている。

「プロとは力を瞬間的ではなく継続できる事」
まさしくこれ。

勝負師の本は本当に面白い。
短くてすぐ読めてしまうのでお勧めの一冊。