2019/11/04

読書感想「代替医療解剖」



セレクシオン和田さんが読んでて面白そうだったので読んでみました。
世の中にはびこる間違った代替医療を、正しい臨床試験とエビデンスで解剖していくという内容。
この本は「科学は知識を生み、意見は無知を生む」という言葉から始まる。

■瀉血(しゃけつ)
病人の血液を抜くという治療法で、臨床試験が当たり前でない頃、ヨーロッパ、アメリカでどんな病気にも効く万能の治療法とされていた。ジョージ・ワシントンは、瀉血によって死亡したとされる。
臨床試験により、瀉血で治療した方が治癒率も低く、死亡率が高いという事が分かった。
臨床試験が無いと、このような謎の治療法が当たり前になってしまう危険性がある。
意外にも「科学的根拠にもとづく医療」という言葉が生まれたのは1992年であり、現在もまだ数多くの間違った代替医療が存在している。

■壊血病
長期航海で皮膚が腐れて死ぬという病気。
治療方法を調べる為に、世界で初めて対象比較試験が行われ、デタラメでレモンを与えたグループが治癒したという、面白いエピソード。原因はビタミンC欠乏症だったのだが、当時レモンを与えると奇病を防げるというのは、現代の代替医療の怪しさが感じられる。

■鍼
腰痛、頭痛意外は一切効かないというデータがあり、プラセボ効果の威力を物語っている。刺さったように見える偽の鍼での試験では、実際に鍼を刺した時と同じ鎮静効果が見られた。腰痛に関しては、あまり効かない通常医療以下の効果との事。

■プラセボ効果
痛み、晴れ、熱、昏睡、食欲不振という症状にはかなり効くというデータがある。
思い込みによる、脳から出る科学部質の威力は凄い。

■ランダム二重盲目試験
被験者をランダムで選び、医師と患者が本物と偽薬を知らされていない試験が正しい結果を出す。被験者を選んだり、医師が偽薬を知っていると結果に偏りが出てしまい、正しい結果が出ない。

■ホメオパシー
毒をもって制するという考えを元に、ありえない濃度まで薄めた液体を飲ませて治療するという、聞くだけでも胡散臭い治療法。今でもヨーロッパでは普通に行われているらしい。ベルリンの壁を死ぬほど薄めて飲ませるとか、爆笑レベルである。
もちろん、科学的根拠も全く無く、効果はプラセボ効果のみ。

■カイロプラクティック
ボキボキ関節を鳴らせる治療方法。腰痛に通常医療と同じぐらい効果はあるが、それ意外は全く効果が無いというデータ。むしろ、関節を痛めるという危険性がある。
カイロプラティックで内疾患が治ると言っている所はかなりヤバい。

■ハーブ薬
自然の物だから効きそうに感じるが、有毒な物、飲み合わせで通常の薬の効果が減る物など、危険が多い。

間違った医療は危険を伴うだけではなく、正しい治療をうけないという選択肢にまでなってしまう。
我々は正しい臨床試験が行われた医療を受け、謎の代替医療は正しい臨床試験を行うべきであると言っている。

自転車乗りが付けてる、謎のブレスレッドはちゃんと臨床試験を行ったのだろうか・・・。

医療に対する考え方が少し変わりました。単なる意見に騙されないよう、自分でちゃんと考えよう。